■教室建設・補修■

教科書配布では終わらない
 教科書配布を実施してから、子どもたちが「今日CanDoの教科書使ったよ!」と嬉しそうに声をかけてくるようになりました。でも、木の下や、今にも崩れそうな仮設教室で授業が行なわれている状況は変わりません。 「木の下で勉強していると、突風でノートや教科書が飛ばされてしまう」
「雨が降るたびに授業が中断されて、ちっとも勉強が進まない」
そんな声を受け、1999年から、教室建設・補修支援事業を開始しました。

支援のルール
 小学校の教員や保護者、また地元行政との話し合いで、建設する教室のサイズは教育省が推薦する標準サイズ(9.4m x 7.6m)とし、構造的な強度や教室内の明るさの問題、使いやすい黒板や棚の設置などを検討。窓は枠に金網を張っただけにし、教室全体の塗装はなし。地元の職人と保護者だけで作れるような設計としました。

 そして、地域とCanDoの役割分担を決めました。地域は、
(1) 地元で取れる建設材料(石、砂、水)の提供。
(2) レンガ(泥と水をこねて型に入れて乾かし、焼いたもの)と砂利(運んできた石を砕く)を作る。
(3) 労働力の提供。職人の費用の負担。

一方CanDoは、
(1) セメントやトタンなどの建設資材の提供。
(2) 一輪車やバケツなどの建設道具の貸与。
(3) 建設マニュアルと専門家による技術指導の提供
 保護者が集めた資材とCanDoが供与した資材を使って実際に教室を建設するのは、保護者が雇用する現地の職人です。多くは、耐久性のある本格的な教室建設についての知識や経験が不足しているため、CanDoが派遣したケニア人建設専門家が現場で直接指導をしながら作業を進めていきます。中には巻尺の文字が読めない職人、平衡器や垂直器の使用は面倒臭いという様子の職人もいます。慣れない道具を使用するため時間がかかってしまうこともあります。専門家は、ゆっくりと納得の行くまで説明を続けます。将来地域が独自に建設をする時に活かせるようにと、ときにはこうした指導を保護者や教員も交えて行なうこともあります。

その後
 教室建設・補修事業は、質の高い建築物を作り、維持するための技術を地域に移転することも、大きな目的の一つです。だからこそ、地域でできる範囲内で技術を高めていけるよう、建設専門家を頻繁に派遣して指導します。CanDoの支援を受けて教室を建設した小学校の中には、その教室の隣に、同じように耐久性の高い立派な教室を、今度は学校(保護者や職人)の力だけで建てたところもあります。