■教員研修■

研修実施の背景
 ヌー郡やムイ郡の教員のほとんどは、家族と離れて暮らすことに加え、様々な情報からも遠く、孤独感や閉塞感に陥りがちです。そのために教育への「やる気」を保つのが難しいと言われてきました。そこで、地域の教育水準を向上させるためには、教科書や教室建設・補修への支援のみでなく、教員へ働きかけることも必要だと考えました。そこで、CanDo教育調整員のエバンスが中心となり、教員の意欲を向上させることを目指した教員研修を、2000年から開始しました。当初は教員のみを対象としていたこの研修も、現在では教員と保護者が参加して、各学校で半日かけて実施しています。

プログラム
08:15
エバンスが地域の教育官とともに学校へ到着。校長室であいさつと自己紹介。

08:30-09:00
開講式。お祈りで始まり、研修の目的や内容を共有します。

09:00-09:30
第1ステップ:「自分は意欲が高いか?」 まずは教員が自分自身の意欲度を自己評価。背景や理由を探りながら、意欲を高める要因や低いことによる悪影響について意見交換をします。

09:30-10:30
第2ステップ:「どうしたら意欲が向上するか?」 教員どうしで、教員と生徒の間で、そして教員と保護者の間で、どのように意欲を高め合えるか、その具体的な方法について話し合います。

10:30-10:40
第3ステップ:「意欲が向上したらどうなるか?」 意欲が向上することの効果について、具体的なイメージを描きます。その中で、内発的に意欲を高めることと持続性に重点を置いて議論します。

10:40-11:15
第4ステップ:「今後の行動計画」 教員の意欲を向上させ、学校の教育水準を高めることを目指して、どのような方法で実践するか、その行動計画について具体的に話し合います。

11:15-11:45
評価アンケート後、閉講式。

話し合いとその効果
 研修では率直な意見が交わされ、要望や不満、また厳しい批判も出てきます。例えば教員からは、「給料の支払いの遅配を政府はやめてほしい」という訴えがあります。一方保護者からは、「教員の授業態度や素行を改善してほしい」。教員の「保護者は学校に無関心すぎる。学校へ挨拶や見学に来てほしい」といった発言には、「学校にできる限りの協力はしているということを評価してほしい」「学校に訪問することを教員が歓迎しているとは思っていなかった」と保護者は話します。保護者が教員の意欲向上へ貢献できる様々な役割があることに初めて気付くという、効果が見られる場面もあります。