■スラム支援事業[1] 奨学金■

●事業の背景
 ある日本のNGOが、97年度末に突然、支援を打ち切った奨学金事業があります。首都ナイロビのスラム地域にあるルーベン小学校から進学した、成績優秀で経済的に恵まれない高校生を対象としていました。支援を打ち切られてしまった26人(1、2年生)を対象に、緊急避難的な取り組みとして、CanDoではその奨学金事業を引き継ぎました。高校4年間を卒業するまでの授業料を、保護者も相応の分担をすることを条件に、当会から支援する形式を取ったのです。あくまで緊急対応であったため、新規の奨学生支援はしませんでした。

●保護者との折衝
 奨学生たちは、2000年末で全員無事卒業。同時に奨学金事業も終了しました。この間、CanDoは主に奨学生の保護者たちと過ごしてきました。奨学生への支援の仕事であっても、ほとんどがナイロビから遠く離れた学校の寮に暮らす生徒との接触は、あまりないのです。学費の支払いを促したり、強引に回収しようとする学校とのやり取りについて相談したりするのは、もっぱらナイロビのスラムに住む保護者が相手でした。

●卒業生との関わり
 奨学生たちが高校を卒業してからも、CanDoとの関係が完全に切れたわけではありません。奨学金事業を担当してきたエバンスのところへは、今でも「専門学校へ進学したいんだけど…」といった相談の声がかかります。卒業生22人のうち2人は大学で勉強中。うち1人は、勉強の合間に、ナイロビ事務所で仕事を手伝ってくれています。また、地元へ戻ってPTA教員として小学校で働いていた卒業生は、教職がすっかり面白くなり、資格を取るために教員養成学校へ通いたいと、少しずつお金を貯めています。彼女は高校への学費支払いが終わっていないため、卒業証明書をもらえていません。貯めたお金から少しずつ、自分で学校への返済を始めたところです。