教科に関連するエイズ教育

●2005年、教員へのエイズ教育トレーニングを開始
ケニアは、1999年にエイズ国家災害宣言。2003年、小学校学習指導要領の改訂で、エイズを低学年から高学年まで、全学年のさまざまな教科で扱う仕組みが始まります。

2004年にCanDoが行った学校保健の調査で、効果的に実施するのは困難なことが判明。
教員がエイズ教育に関する教授法や知識を備える機会のないことが、ひとつの障害になっていると思われました。

実質的なエイズ教育には、エイズと教科教育の関連付けを目指すべきだと考え、CanDoは2005年にヌー郡において、きっかけとしての「エイズ子ども発表会」を計画。準備のために、教員に対してのエイズの基礎知識と、エイズと教科教育の関連付けを学ぶトレーニングを実施しました。

2006年は、エイズ教育トレーニングに、小学を卒業した子どもたちが社会に出て生きていくための「ライフ・スキル」の向上も加えた、ヌー郡で2日間の日程で実施。

2007年は地域を、ムイ郡、グニ郡にも広げ、
3課程計6日間のトレーニングに発展させました(第3課程の実施は、2009年)。第1課程は、科学的知識と理科、第2課程は、低学年の語学科目でのエイズ問題の教授法、第3課程は、高学年におけるエイズ教育になります。

●エイズ子ども発表会
2005年、ヌー郡での教員トレーニング終了後、子どもたちが授業でエイズについて学んだことを発表し、それを通じて理解を深める「エイズ子ども発表会」を学区ごとに開催しました。

中には、エイズに関する偏見や感染者差別を肯定するような発表が見られたことから、何を教えるのかが必要なのか、考える機会として、教員を対象に2006年、評価ワークショップを実施。その後、3校が実施した発表会では、感染経路や予防についての理解が深まったり、感染者へのケアの視点が導入されたりした発表が見られました。

子ども発表会の開催を促進するために、準備段階から協力した2009年には、準備会議を行なった12校のうち5校が実施。エイズの影響を受けた人々との共生を題材にした劇を上演している学校もありました。

●エイズ教育公開授業
教員トレーニングに参加していない教員へのエイズ教育の普及と、日常的な授業への定着を目指して、2006年から公開授業の開催を促しています。

2007年、08年は各2回でしたが、2009年は、ヌー郡とグニ郡の6校において、7回開催されました。これらに対して、CanDoでは、専門家と学校を訪問し、研修を修了した教員への助言を行ない、授業後の振り返り会議に参加。授業の模様を撮影したビデオを教材として活用できるように配布しました。
2010年11月