基礎保健トレーニング

1998年、CanDoは、ムインギ県ムイ郡の診療所への支援から保健事業を始めました。
2000年から実施した基礎保健に関する調査により、地域の保健の状況を改善するために、まず、出産適齢期の女性を対象としたトレーニングを2001年に開始しました。

出産適齢期の女性を対象にしたのは、地域の実情として家庭における家族の健康、特に子どもの健康を守る役割が主に母親に担われているためです。さらに、地域で多くの母親たちが、基礎的な保健の知識を得ることで、特権化することなく広く地域で保健に対する理解が深まり、ひいては住民が保健サービスを受ける受動的な存在ではなく自らの健康を守る主体としての意識が持たれることを目指しました。

基礎保健トレーニングでは、各村から選ばれてきた58名を対象として、各回2030人程度の参加型の研修で、3日間行ないました。

参加者が基礎的な保健の知識を修得すること、そして家庭や地域における得たことの伝達、グループを作って保健に関する状況を改善する活動を実践していくことを目指しました。ムイ郡で計
300名以上の女性が修了しました(20052月現在)。
2005年にグニ郡、2006年にヌー郡においても実施。


1日目のプログラム
08:30
・・・・・・会場の教会に集合
08:30-09:00
・・・お茶の時間−チャイ(ミルクティ)を飲みます。
09:00-09:15
・・・開講式−お祈りで始まり、地域のリーダーから励ましの言葉がかけられます。
09:15-10:45
・・・1時間目:母子保健・家族計画−導入の講義の後、グループワーク、発表、質疑応答と続きます。
10:45-11:00
・・・休憩−乳幼児を連れてきた参加者は、授乳におしめの交換に大忙し。
11:15-13:00
・・・2時間目:栄養−1時間目と同じ流れで進みます。
13:00-14:00
・・・お昼休み
14:00-15:00
・・・3時間目:実習−ORS(経口補水液。下痢で脱水症状になったときに水分を補給する液)を、煮沸した水と塩と砂糖を混ぜて作ります。
15:00
・・・・・・終了 

2
日目は、水と衛生、一般的な病気を扱います。実習では、乳幼児の体重測定と家庭での浄水方法を取り上げています。

3日目は、住居と環境衛生、性感染症を扱い、閉講式をもってコースは終わります。

質問のいろいろ  
取り上げるテーマの中では、特に母子保健、家族計画、一般的な病気、そして性感染症について多くの質問が上がります。
「どうして、歯の生え始めた乳児はよく下痢をするの?」

「マラリアを伝染する蚊は、どう見分けるの?」
「妊婦は、胎児の情緒不安定を避けるために怒ったり泣いたりしてはいけないから、葬儀には参列してはいけないと聞いたけれど、本当なの?」

このように、病気の原因・予防と具体的な対応の方法、地域での言い伝えの真偽などに関するものも少なくありません。そのうち、健康上悪影響を与える誤まった情報は訂正し、根拠のある言い伝えについてはその理由を説明します。また、「夫は非協力的だ! 家族計画は妻だけでは実践できない!」という率直なコメントも聞かれます。

その後の活動  
トレーニング終了後には、フォローアップとして復習コース(1日)や、一部の家庭を訪問して聞き取り調査を実施します。復習コースの中では、修了者がグループを作り、個人では取り組むのが難しい活動を共同で行っていくことを促します。CanDoの働きかけで多くの保健グループができ、トイレ掘りや野菜作り、養鶏、保健啓発といった活動が始まりました。活動をさらに促すためにグループ活動に必要な道具の貸し出しなども行なっています。

また、これら修了者から地域における保健分野のリソースパーソンとなることを期待して、CanDoが地域で実施する保健事業に様々な形で協力を求めています。

2006年2月