伝統助産婦(TBA)トレーニング  終了しました

ムインギ県では、女性の多くは医療施設ではなく自宅分娩をしています。その介助をするのは主に地域の伝統助産婦(TBA)と呼ばれる女性たちです。彼女たちのほとんどは体系的なトレーニングを受けてはいません。異常分娩などには対応できず、手遅れになって最悪の場合には母親もしくは赤ん坊が死んでしまうケースも珍しいことではありません。

ムイ郡で基礎保健トレーニングとフォローアップを行なう中で、地域の女性たちにとって保健面において最も大きな心配事の一つに、出産にまつわるリスクがあることが分かりました。その状況を変えることに母親たちからの要望も大きく、2003年に、ムインギ県ムイ郡で、伝統助産婦対象のトレーニングを開始することにしました。

伝統助産婦を対象に、出産介助だけでなく、産前産後のケアも含めた、計15日間のトレーニングを、政府の持つプログラムを使って、県保健局と共同で計画しました。(

受講者として、各村で住民に信頼され活躍しているTBA1人選ぶということにしましたが、村落部では数少ない現金収入の手段になり得る職業訓練ととらえて、無理に選ばれようとしたり、政治的思惑が入るなど選出は混乱しました。一方住民の間にも、トレーニングを受けたTBAが出産介助の見返りに金銭を求めるようになることへの心配から、選出に消極的になる地域もありました。

そこで、選出が適正に行なわれるよう、各村で基礎保健トレーニングを受けた母親たちに協力を呼びかけ、まず彼女たちに対して母子保健に関する追加トレーニングを実施しました。彼女たちを通して、住民の理解を促してTBA選出における協力を得、各村での話し合いを重ねた結果、47人のTBAが選ばれました。彼女たちは村の代表として住民たちから支援を受けながら、長い期間のトレーニングに熱心に参加しました。

修了後は、村へ戻って地域の母子保健改善のために活躍しています。また、近くに住むTBAが集ってグループを作り、地域の小学校や、集会などで、生徒や住民に対して母子保健にまつわる話をする機会を持ったりしています。

2005年には、伝統助産婦が母子保健に加えて、より広範な保健一般についても地域のリソースパーソンとして活動していけるよう、基礎保健トレーニングも追加して実施しました。それとともに、診療所や保健センターとの連携強化のために、TBAが運営委員会メンバーとなるような関係づくりも働きかけました。

また、その後開始したエイズ関連事業の中で、基礎保健トレーニング修了者、幼稚園教師とともに、エイズに関しても住民に対して助言していく役割を担えるよう、エイズ三者ワークショップを実施しました。

2007年8月/2011年1月更新