「NGO活動の魅力」 (1998年2月・会報第1号より)

「どうしてNGOなの?」
とよく聞かれる。アメリカで開発学を修めた後、安定した職に就くだろうと周囲には思われていた私が、何の経済力もないまま結婚して
NGOの世界に飛び込んでしまったのだから驚く人は多い。

NGOの何よりの魅力は
組織の機動力と活動の緻密さ
ニーズは高いが政府の手の届かない都市スラムや村落地域で、草の根レベルで活動が進められる。また、官僚組織の弊害とはほとんど無縁で、柔軟に活動の軌道修正ができる。活動地の貧困、その他押し寄せる諸問題に圧倒されることもしばしばだが、そんな地域で力強く生きようとしている人々と接していると、逆に応援されている自分に気がつく。

駐在員としての業務は
ケニアの中央・地方政府との折衝、事業候補地での事前調査、ケニア人職員の発掘、会計、日本からの研修旅行の手配、コンサルティング(他のNGOの事業評価等)、そして雑務(重要!)など盛りだくさんの内容だ。もちろんこれらを全て1人でこなすのではなく3人(調整員・中塚と非専従スタッフの妻・美佳)で分担しているわけだが、11人が「何でも屋」でありかつ「開発援助専門家」であることを要求されるのは確か。

そんなバランス感覚を磨くことができるのも、NGOの大きな魅力だ。

ただしNGOが「万能選手」だとは思わない
世界の貧困の規模に比べれば、個々のNGO活動はごく小さなものだ。さまざまな批判があるにせよ、国際機関は地球規模の問題解決に必要な枠組みを整え、政府系援助機関は国家レベルで活動を実施し、営利ビジネスは富を生み出す、という役割をそれぞれ持つ。大事なのは、お互いの役割を理解した上でそれぞれ何ができるのかを常に考え実行していくことだと思う。

開発協力は世界の貧困解消に役立っていない、とあちこちで批判される。建設的な批判もあるが、失敗事例だけを取り上げ一方的に非難するものも少なくない。批判するだけでなく実践を通じて改善していく、そんな気持ちを忘れないようにしたい





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