2001年のケニアの概況
2002年の選挙に向けての政治の動きと、経済面での「ドンデ法」の行方
(2002年3月・第18号より)

2002年、大統領選挙および国会議員・地方議員の総選挙が予定されている。憲法の規定では、1978年に就任したモイ大統領の再選はなく、新たな大統領が選出されることになっている。このため、2001年は政治がさまざまな動きをみせはじめた。

1月、与党のKANUと野党第一党のNDPが、NDPの本拠地ビクトリア湖岸のキスムで会議を持ち、「協力からパートナーシップへ」という方針を打ち出した。6月には、独立後初めての連合政権を形成し、NDPから2名の国会議員が大臣に、2名が副大臣にそれぞれモイ大統領により任命された。その後、両党の合併に関する話し合いが続いているが、主要ポストをNDP議員に割当てることに対するKANUの有力議員からの反発も強い。

また、10月には、1997年の総選挙で落選した、初代大統領ジョモ・ケニヤッタの長男ウフル・ケニヤッタが、モイ大統領の任命により国会議員*となる。さらに11月には地方自治大臣となり、次期大統領との観測までではじめた。また、憲法改正も検討されており、2002年の大統領選挙の行方は不透明である。 経済面の動きとしては、「ドンデ法**」の行方が注目をあつめている。ドンデ法は、中央銀行法を改正して、銀行の利子率に上限を設定するなどの権限を付与し、現行の利子率を下げることを目的とした法律である。

現在、銀行の利子率は高く、個人や中小企業が銀行からの貸付を受けられないばかりか、借入金の返済に行き詰まって倒産した大企業もでてきた。 法案は、2000年にいったんは議決された。しかし、大手投資家からの反対およびロビー活動、さらにドンデ法は憲法違反であるとして、ケニア銀行協会が訴訟に踏み切るなど強硬な反対もあり、同法の施行が遅れている。

この法律に対する国民の注目度は高く、法律が施行されてから借入れたいという期待により、国内では貸付の申し込みが滞っている。一方、施行を見越してか、利子率を下げたり個人向けのローンを始めたりした銀行も出てきている。

*国会は一院制で、小選挙区より選出される国会議員と、大統領により任命される国会議員とにより構成される。





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