「2003年のケニアの概況」 公務員の粛正から「マタトゥ」の改善まで、さまざまな取り組み (2004年3月・会報第26号より)

2003年は、新政権による諸問題への取り組みがみられました。

第一は、国民の期待の大きさからも小学校の無償教育政策です。その中で特に強調されたのが、校長が保護者からお金を集めることを厳格に禁止したことです。これまで、校長がいろいろな名目で保護者からお金を徴収し、時には不透明な動きもあったことへの対処と思われます。

また、公務員の綱紀粛正が図られています。それまで日常的だった、警察官が通行中の車の法的な不備をみつけては賄賂を受け取る様子もみられなくなりました。交通整理が雨の中でもなされるように変わりました。クリスマスも休まず仕事につき、独立後で最も平和なクリスマスが実現した、といわれています。

前政権時代からケニアの汚職度合いを毎年調査しているNGOによると、国民ひとりが警察官から賄賂を求められる件数は、2002年の年平均54件から2003年は13件へ減少。大幅に改善はされてはいても、最も汚職が深刻な行政機関であることは変わらない、との報告がされています 。 また、裁判官25人が賄賂を受け取って判決に便宜をはかっていた、として停職処分を受け、そのほとんどが辞職しました。

さまざまな事件の真相究明も地道に続けられています。ひとつは、1990年代初頭に輸出報奨金の名目で国庫から一企業へ多額の資金が不透明な形で流れた事件について。旧政府高官の関与と政界への資金還流が噂されていました。真相究明のための特別委員会が設置され、3月からこれまで(2004年2月末)ほぼ1年の間に150日もの審査会が開催され、毎回の証言記録全文が一般紙に掲載され続けています。

政府は交通問題の解決にも着手。小型のバス、ワゴン車に乗客を詰め込んだ「マタトゥ」と呼ばれる乗り合い自動車は、高速で疾走し、無理な追越しで、事故が絶えませんでした。政府は、自動速度制御器と全ての座席にシートベルト装備を義務付けました。また、乗客は座席数のみとして立ち席や詰め込みを認めず、運転手と車掌は警察発行の無犯罪証明書を取得しないと営業できないことになりました。マタトゥ組合は全国ストライキなどで抵抗してきましたが、2004年2月から厳格に実施されています。





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