昨年の小雨季、橋が流れて残った疑念 (2005年5月・会報第31号より)

 ケニアは今、3〜5月の「大雨季」が終わろうとしています。11〜12月が「小雨季」です。「大小」といっていますが、英語では「長短」で、降雨量が多いのは、小雨季のほうです。乾燥しているCanDo活動地のムインギ県でも、この時期は雨がかなり降り、乾季には水のまったくない涸れ川(季節河川)も、たくさん水が流れます。

 そのひとつ、ムインギ県のグニ郡グニの町にある幅10〜20メートルの涸れ川は、雨季は危険な場所となります。過去に何度も人が流され、2002年12月の大統領選挙のときは、投票用紙を積んだバスが橋から落ち、川底の砂地にはまりました。

 この橋は、川底を鉄筋コンクリートで高くしたもので、下を水が流れるのではなく、橋の上を水が流れます。昨年、この橋にどこかの資金がついたのか、業者がやってきて、資材も全て外部から持ち込み、何やら工事が始まりました。橋の幅を広げようとしていたようで、補強もねらっていたとも思われます。

 この工事が完成しないうちに、前回の小雨季はやってきました。そして、本格的な降雨となる前に、川に水が流れたときに工事中の橋の一部が流されてしまいました。

  「雨季の前までに終わらせなかったからだ」という声が出ます。また、「きっと、セメントに対して砂をたくさん混ぜ過ぎて、コンクリートの強度が弱かったのだろう」という見方もあります。高価なセメントをたくさん使わず、予算より低い工費で仕事を終えて、その差額は施工者の元に入ったのでは、という疑念です。

 橋の壊れた部分で、川の流れが変わり、激しくなったため、相当水が引くまで、車の通行ができなくなってしまいました。少し先には、川底が少し高くなっていて、水かさも膝下で流れも緩やなところがあります。車が立ち往生しているのを横目に、砂地を住民が安全に歩いて川を渡っていました。けれども、車で渡ろうとすれば、タイヤが埋まってしまいます。

 実は、11月に当会の他の調整員が乗った車も立ち往生しました。そのときに、付近の人たちから情報を集め、また、同行していた建設専門家から橋の評価などを聞きました。調整員の報告によると、施工者が受け取った額は経費の4倍になる思われるそうです。 地元選出の国会議員が、この件を知って激怒し、その力で補修が進められ、現在は使えるようになっていると聞いています。



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