小学校を支援しようとする理由
代表理事 永岡宏昌
1998年2月・会報第1号より)

CanDo-アフリカ地域開発市民の会は、本年11日、正式に設立しました。現在、最初の事業としてケニア国東部州ムインギ県ヌー区での小学校支援開始に向けて準備を進めています。今回は、なぜCanDoが小学校支援に焦点をあてているかについて述べたいと思います。 

スラムに流れてくるムインギ県の人にとって「豊かな生活」を考えたとき

東部州ムインギ県の人々は、「近年頻繁におこる干ばつなど乾燥化による生活環境の疲弊」「ケニアの平均的状況より悪い栄養失調児の比率」「ナイロビの都市スラムへの人口流出」など、さまざまな困難に直面しています。援助関係者によると、ヌー区は、同県のなかでも貧困な地域である、とのことです。CanDoは、この貧困化の状況のなかから地域の人々が、「より豊かな」生活を作り上げていく応援をしたい、と考えています。

しかし、その「豊かさ」とは何か、どうしたらその「豊かさ」を住民が獲得していけるのか、CanDoは、どのような応援ができるのか、応援をすべきか、または、してはならないか、など、多くの繊細な事柄を理解し、地域の人々と共有する必要があります。そのためには、CanDoのスタッフが、地域に住み込み、人々と話し合い、具体的な共同作業を行ない、時間をかけて信頼関係を築き上げる必要があります。

設立前から行なってきた調査の段階からみえてきた教育についての問題

地域の大人が子どもの教育に意欲的であるにもかかわらず、ムインギ県の小学校8年生の成績はケニアのなかで下位に属し、さらにヌー区は同県のなかでも最も成績の低い地域となっています。その背景には貧困があり、教員の教える意欲と子どもたちの学習意欲低下の悪循環などが見え隠れしています。このような状況から教育支援はニーズが高く、住民との協力関係が作りやすいと判断しました。そして最初の事業として小学校支援を決定しました。
地域の小学校への基礎教科書支援や教室の増改築に、地域の人々の直接参加や協力を求めて、共同作業を行ないながら、次の事業展開にもつながる信頼関係の醸成をめざします。

この支援は、地域社会がさまざまな形で地域の「より豊かな」生活を築く営みを将来担う数多くの子どもたちを育てていく基礎作りへの応援でもありたい、と思います。


ホームへ戻る