小学校支援から地域の総合開発へ
代表理事 永岡 宏昌
(1998年7月・会報第3号より)

ケニア・ムインギ県ヌー郡での小学校支援では、設立準備をしていた昨年末から、地域の行政官・村人・学校の先生・子どもたちなど多くの人たちと話し合いを積み重ねてきました。そしてこの8月には第1回目の教科書配布が行なえるところまでたどりつきました。この事業の成功をめざす一方で、次の展開をどのようにするのか多くの関係者の意見を機会があるごとに聞いたり、状況を観察したりしながら、常に考えています。

ヌー郡にはナイロビのスラムに流出していかざるを得ないような地域の貧困化があります。それに対して、より「豊かな」地域社会を築いていくために人々が取組んでいる営みや将来の努力を、私たちが出来る適切な形・規模で、総合的に応援していきたいと考えています。小学校支援は、その地域総合開発に取組むための入り口であり、また欠く事の出来ない重要な要素であると考えています。

地域保健そして環境保全へ

次の展開として視野に入れている活動は、地域の人々の健康に関わる地域保健、とりわけ小さな子どもや母親の健康(母子保健)です。また地域に根ざした植林や薪炭の節約による環境保全、地域の人たちが主体的に行なっている小さな開発活動(草の根の活動)への支援などです。展開にあたり関連付けを大切にしたい、とも考えています。例えば、小学校とそれに併設されている幼稚園の子どもたちの健康問題に取組み、その延長として、就学前の乳幼児の健康を考えていく。このような形で母子保健へと展開することが考えられます。また、小学校の農業クラブと協力して、樹木の苗畑の開設や校内への植林、環境教育などを始め、環境保全事業への足がかりをつくることも考えられます。小学校の教室を増築する際に、住民がレンガを作ることになります。このレンガを焼結するために消費する薪に見合う植林をすることには重要な意味があるものと思われます。 

活動の原則は変わりません

活動は形を変え、広がり、総合的であることをめざしますが、CanDoの活動の原則は共通しています。開発の主役は、地域の人々であり、活動は彼ら自身が決めるものであること。私たちは常に部外者の立場をわきまえながら、一所懸命協力します。また、地域の人々にとって、私たちと行なう活動が、常により「豊かな」社会を作る上での自信や経験・技術の蓄積につながるよう留意します。

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