「エンパワメントについて」
代表理事 永岡 宏昌
(1999年6月・会報第7号より)

CanDoは、私たちのどのような活動も「地域住民のエンパワメント」につながっていくべきだと考えています。

エンパワメントは「力をつける」というような意味ですが、地域の人たち自らが、「より豊かな生活」を実現していくために、地域の抱える障害や問題点をより深く理解し、自分たちで取り組める解決方法を探し、実施していく、そのような「地域社会の力」が強くなっていくことを「エンパワメント」と理解しています。地域の人たちが主体となった「村おこし」のようなものかもしれません。

CanDoがムインギ県ヌー郡で活動を開始したきっかけは、行政・援助関係者や地域住民が同地域を「貧困地域」と考え、貧困から抜け出すためにNGOによる開発援助を望んでいたことと、同地域の小学校の成績が比較的低く、その背景に地域の貧困があると推定できることでした。そして、外部者である私たちは、地域の人たちが「より豊かな生活」を実現していくために、共同して開発事業に取組み、その過程で「適切な」役割をはたすことによって、地域の人たちが「力をつけていく」ことに協力したい、と考えたからです。

昨年からヌー郡の全小学校への教科書の配布を開始し、今年は教室の建設を支援しますが、「不足しているモノを満たしていく」ことに活動の主眼をおいているのではなく、教科書配布や教室建設をきっかけに、教育への意欲が活性化されたり、地域の人たちが協力して地域の問題を解決する過程を体験できるように工夫することに活動の重点をおいています。

教科書については、教員と保護者とで管理するシステムをつくるように働きかけます。例えば、本棚を作る、教科書の管理台帳を作る、教科書の使用料を徴収して買い替えのための基金をつくるなどです。また、教科書の利用・管理方法に関するセミナーなどを開催して、教員の質的向上と相互交流の機会を提供することも、教員を「元気付ける」ために重要であると考えます。

何よりも、私たちと行政官や、時には日本からの客人が、小学校を訪問して、教員や子どもたちに「やあ!がんばっているね!」と励ましの声をかけることが重要なのかもしれません。


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