「『部外者』として地方行政との関わりに見出す役割」
代表理事 永岡 宏昌
(1999年9月・会報第8号より)

ムインギ県ヌー郡の現場でプロジェクトを実施するにあたって、私たちCanDoがムインギ県知事以下の地域の行政担当者とどのような関係を持つか、は重要な点です。

教育など公共サービスの現状

本来ならば、ケニアの次の時代を担う子どもたちの教育の問題は、ケニア政府が優先して取組むべき課題であり、実際に「かなり努力していた」と言えるでしょう。ところが、国が抱え込んでしまった多額の借金と経済の低迷のため、このような公共サービスを以前より悪化せざるをえないのが、現在のケニアがおかれている状況です。例えば、ヌー郡長に郡内の行政機関のなかで唯一の公用車が割り当てられていますが、燃料費の予算が少ないため殆ど動かすことが出来ません。

CanDoに対する「歓迎」と「わだかまり」

教育・保健・環境保全などCanDoが実施するプロジェクトは、公共サービスに近いもので、理想的には地域の行政機関が住民と協力して取組むべきものですが、このような状況から、私たち部外者が「地域開発への協力」という形で関係しています。

このことは、行政とCanDoとの間に微妙な緊張関係をつくります。行政は、CanDoが必要な公共サービスを代替する団体として歓迎もしますが、一方、自分たちの仕事を部外者に任さざるをえない「わだかまり」のようなものもあります。

行政との対決ではなく円満な関係の中で

このような状況のなかで、CanDoは、地域住民のために行政と対決するのではなく、住民および行政双方との協力関係をつくり、三者間の円満な関係の中での地域の総合的な開発をめざします。予算がないため仕事が出来ない不満や挫折を感じている行政担当者に、まず、CanDoと協力することによって仕事を達成できる満足を感じてほしい。そして、行政担当者が、厳しい現在の状況の中で、住民と共に新たな役割を見出してほしい、と思います。

ケニアの行政は汚職ばかり横行して実務が機能していない、という非難をよく聞きます。しかし、私たちが現場で出会う行政担当者は、さまざまな個性はありますが、適切なつきあい方をすれば、お互いによきパートナーとして関われる人々だ、と考えています。


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