「住民参加について」
代表理事 永岡 宏昌
(1999年12月・会報第9号より)

地域開発で住民が求められるもの
CanDoが活動するケニア国ムインギ県ヌー郡、ムイ郡の人たちは、地域の開発のために、様々な活動への労働力の提供・金銭的な貢献などが求められています。道路の修復、ため池の建設、水道管の敷設、植林、学校や診療所の建設など重要な社会基盤の整備に関わるものです。住民による自主的な事業のほか、政府や国際機関による公共事業や、NGOや教会、団体による国際協力事業などがあります。いずれの場合も、近年、「住民の参加」が強調される傾向にあるようです。CanDoの事業も「住民参加」を原則としています。

事業の優先度に大きく影響するフード・フォー・ワーク(FFW)
住民の立場からみると、家事労働や畑仕事・家畜の世話・小動物の狩りなど、日々の生活を営むための諸活動に忙しい中で、これらの事業への「参加」が求められているわけです。住民が事業への参加に優先度を感じなければ、無理に始めても、途中で「住民参加」がなくなって、中止することになるでしょう。

この住民による優先順位付けに大きく影響するものに、事業に参加した住民に対して食糧を提供するフード・フォー・ワーク(Food for Work 、FFWと略します)があります。ムインギ県全域で活動するドイツ技術協力公社(GTZ)は、住民を動員して効果的に公共事業を進める方法として積極的に位置づけています。確かに、食糧が供与されるため、住民の積極的な「参加」が得やすく、短期間のうちに成果を出しやすいという長所はあります。けれども、住民が「地域の自立」や「より豊かな地域社会づくり」などの長期的な視点を度外視して、とにかく食糧のために参加する、という傾向があります。FFWがなければ、住民はNGOの事業に参加しないのではないか、という人もいます。

FFWなくても参加する事業
しかし、この同じ住民が、数多くの小学校で、FFWがなくとも積極的に教室建設に参加しているのも事実です。そこには、子どもたちの教育をとおして、将来の「より豊かな生活」をめざす長期的な視点があります。同じように、母子の健康を守るために、住民が積極的に参加してムイ診療所の建設がおこなわれました。CanDoは、このような長期的な視点にたった「住民参加」を応援していきたいと思います。


ホームへ戻る