「当会の事業を「日常性」につなげる」
代表理事 永岡 宏昌
(2003年6月・会報第23号より)

2003年2月、当会の環境活動・教育事業の一環として、ヌー郡のムアンゲニ小学校で、校内理科研究発表会が開催されました。昨年12月の会報(第21号)でお伝えしたように、これは、子どもたちが教員の助言を受けながら、周りの環境にあるものを活用して、実践的な理科の発表を行なうものです。学校での環境活動の活性化と理科教科の理解の促進を目指しています。
当会では、この事業を実施することで、さまざまな効果を期待し、工夫をしています。ひとつには、教員が、教授意欲を高める動機づけになること。教員が、他の教員へ自分たちの成果を教えることができるようになること。また、保護者が、発表会を参観する機会を創ることによって、学校の教育活動に参加するきっかけを提供すること。到達点は先になるでしょうが、教員、子ども、そして地域住民である保護者が、地域の環境を意識し、環境保全のための活動につながっていくこと。

当会の事業はどれも、外部からアイデア・行動様式・モノなどを持ち込み、地域の人々が参加することによって実施されます。これらの事業は、地域の人々からみると、非日常的なイベントでしょう。しかし、当会としては、その構成要素、アイデアなどが、地域の人々に価値のあるものとして認められることが重要だと考えます。そして、当会が関与しなくなっても、事業がその一部でも、日常的な活動のなかに組み込まれていくことを目指しています。

この環境活動・教育事業では、ひとつめの効果にあげたように、教員トレーニングと並行して、教員の教授意欲を高める内発的な動機づけにつながることを期待してきました。子どもの理解の向上に貢献するためか、教員の知的好奇心を刺激するためか、熱心に事業に参加する教員が確かに増えてきました。しかし、イベントである事業に関心をもつことと、日常的な教育活動へその熱心さが反映され、教授意欲の高い教員となることとは、直線的につながらないのではないか、という心配があります。イベントに熱心になる分、日常的な教育活動が逆におろそかになることもあるかもしれません。
このような視点から、当会の事業が、教員の日常の教育活動における内発的な教授意欲の向上に貢献しているのか、その評価を行なうことを検討しています。それにより、事業の質的な向上につなげたいと考えます。


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