保健グループ活動について
代表理事 永岡 宏昌
(2005年9月・会報第32号より)

 2001年から3年間にわたって、当会はムイ郡において母親を対象とした基礎保健トレーニングを実施してきました。そのなかで、トレーニング参加者を中心とした、地域の保健グループ活動の形成を働きかけてきました。働きかけは助言にとどめ、資金や資材等の供与を行なわない方針で始めました。44グループのうち30グループで活動の継続がみられたため、2005年3月にツルハシなどニーズと要望が高い資材を若干貸し出して、活動の活性化をめざしました。

 この保健グループ活動の確認のために、30のうち13グループを8月に訪問しました。多くのグループで、メンバーの家庭に順番に、トイレを掘る共同作業を実施していました。トイレがすでにある家庭では、畑の「テラスづくり(畑に水平方向の溝を掘り、表土や降水の流出を抑制する土壌保全の方法)」を共同で行なうことが多いようです。テラスづくりを優先するグループもありますが、多くはトイレを優先し、次の活動としてテラスづくりに取り組んでいます。共同作業としてトイレ作りが重視されるのは、基礎保健トレーニングの成果といえると思います。
メンバーが病気で働けない場合は、他の人が病気の人の個人の畑作業を手伝うことと、せっけん、小麦粉、砂糖を寄付することを、規約で定めているグループもありました。

 また、注目した点は、共同活動後の話し合いや団らんのなかで、参加者が保健に関する知識、特にエイズ問題についての共有や相談を行なっているかでした。エイズに関する質問は、性行動に触れることになります。あまり話し合われていないグループでは、照れ笑いや「歳だから関係ない」というような反応になりがちですが、日ごろから話し合っているグループでは真剣な反応になります。
村の集会でエイズ予防のためのコンドームの重要性を説明し、装着の実演を行なったグループがありました。また、別のグループでは、メンバーから踏み込んだ発言を聞きました。
「夫にエイズについて説明しコンドーム使用を提案したが、拒絶した。でも、他の女性との性交渉では使用していると信じている」

 2005年8月から、隣のグニ郡でも基礎保健トレーニングを開始しました。このなかでも、保健グループ形成を行ないますが、グループ活動の中での保健情報の共有の意義を再度強調していきたいと考えます。


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